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診療科案内

脊椎外科

整形外科の一部門として、〝背骨の病気″を専門とした脊椎外科が2012年4月より新設されました。
脊椎外科では、頸から腰までの背骨の異常によって、首の痛みや腰痛、さらには手足の痛みやしびれ、歩行障害、脊柱の変形などを生ずるさまざまな疾患の治療を行っています。
脊椎・脊髄疾患は、加齢に伴う変性疾患が多いため、高齢者が罹患する割合が高くなっており、高齢の方に脊椎手術を実施することが多くなっています。また、いろいろな合併症を有する患者さんに対しては、専門性が高く優秀な当院他診療科の協力により、以前なら手術ができなかった症例でも手術が可能になるケースが増えてきました。
当科では、こういった社会背景を考慮して、できるだけ体に負担のかからない低侵襲手術を導入しており、内視鏡手術や脊椎圧迫骨折に対する経皮的脊椎固定術や椎体形成術などを積極的に行っています。
また成人脊柱変形や脊柱側弯症に対する、難易度の高い手術も行っています。
低侵襲手術を含め脊椎疾患に対する治療を安全に行い、今後も、佐賀県の皆様に最新の医療を提供できるよう日々努力していきたいと考えております。

診療内容

腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性・分離すべり症、頸椎椎間板ヘルニア、頸椎症(脊髄症、神経根症)、後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症、脊椎圧迫骨折、脊椎外傷(脱臼骨折やCHANCE骨折)、成人脊柱変形(いわゆる腰曲がり)、脊柱側弯症など

当科の脊椎手術について

脊椎・脊髄外科の手術治療は、器である頸椎・胸椎・腰椎およびその中に存在する脊髄・神経根に関するすべての疾患を対象としています。疾患の病因は、変性、外傷、感染、腫瘍など多岐にわたり、病態に応じた最善の手術を選択しています。脊椎・脊髄手術では、神経合併症を起こす危険性があるため、当科では積極的に顕微鏡や内視鏡を使用しています。2014年度より術中ナビゲーションシステムを用いた椎弓根スクリュー挿入を症例に応じて施行しています。これらの工夫により、より安全な手術を目指しています。また、当院では外傷センター経由の脊椎・脊髄損傷の患者様に対する治療も行っており、経皮的椎弓根スクリュー挿入を併用した低侵襲脊椎固定術(MISt)なども適宜施行しています。

1)内視鏡手術

腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、頸椎症性神経根症などに対して内視鏡を用いた手術をおこなっています。直径16mmの筒を手術部位に挿入して手術操作を行うことで、組織の障害を最小限に抑えます(図1)。手術による創が小さい(2cm程度)(図2)ことに加え、手術中・手術後の出血が少ないこと、手術後の痛みが少なく、早期から離床が開始できることなどが特長です。入院期間は1週間から10日程度となります。


図1

図2

2)経皮的脊椎固定術

従来の脊椎固定術は手術の傷が大きく、腰の筋肉を広い範囲で背骨から剥がして手術を行っていました。そのため術中・術後の出血が多く、また術後の腰痛も強いものでした。当科では、できるだけ切開や筋肉の剥離を小さくして(図3)神経の除圧操作を行うとともに、筋肉の間からスクリューを挿入することで、筋肉のダメージを最小限に抑えるような手術を導入しています(図4)。この方法により手術による出血が大幅に減少し、手術後の創部の痛みも軽減されるため、早期の離床とリハビリテーションを目指すことが可能です。


図3

図4

3)脊柱側弯症手術

おもに思春期に生じる側弯症は、成長とともにカーブが増悪する疾患です。カーブが大きなまま成人すると、一定の角度以上であれば成長がストップしても、その後年齢がすすむにつれカーブの増大が進行する場合があります。そのためなるべく短い手術範囲で、その後の人生における脊柱カーブの進行を抑制する手術が必要です。カーブの大きさや、カーブの種類によって必要とされる手術は異なりますので気軽にご相談下さい。

4)成人脊柱変形手術

脊椎の変性をベースとした成人脊柱変形(いわゆる腰曲がり)に対しては、腰椎前方固定術(OLIF)や骨切りを併用した、前方後方固定術を施行しています。おもに腰痛の改善や歩行障害の改善が得られます。ただし手術時間が長く侵襲の大きな手術ですので、どなたでも可能とは言えません。個々の症例に応じた手術を選択しています。