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第35回 冬季に流行する感染症

冬季に流行する感染症

県立病院好生館 感染制御部 部長 福岡麻美

 

 本格的な冬がやってきました。空気が乾燥し、気温が低くなる冬季は、感染症がピークを迎える季節でもあります。冬季に問題となる感染症にはかぜ症候群、インフルエンザ、肺炎などの呼吸器感染症と、ノロウイルス、ロタウイルスなどのウイルス性の感染性胃腸炎があります。今季ノロウイルスによる感染性胃腸炎が全国的に猛威をふるっており、またRSウイルス感染症も過去最多の報告数を更新中です。インフルエンザも佐賀県は例年より早い10月31日に流行期入りし、現在も全国の発生状況と比較してかなり多い状況が続いています。これらの感染症の特徴や留意点を理解して感染予防に努めるとともに、症状出現時にはできるだけ早めに医療機関を受診するようにしましょう。

 

1.冬に感染症が流行する理由

1) ウイルスの伝播性・感染力増強
空気が乾燥する冬期にはウイルスの水分が蒸発して比重が軽くなるため、空気中にウイルスが浮遊し、伝播しやすくなります。また低温・低湿度下ではウイルスが体外でより長く安定して存在することが可能となります。

2) 人の免疫力低下
一方体温が低下すると代謝活動が低下し、免疫を担う細胞の働きも低下します。その結果、人の抵抗力が下がってしまいます。また乾燥によりのど・鼻腔・気管支の粘膜が乾いた状態では、本来粘液でウイルスの進入を防いでいるのどや鼻の粘膜が乾燥して傷み、ウイルスが体内に侵入しやすくなり、感染を起こしやすくなります。

 

2.冬期に流行する代表的な感染症

1) 呼吸器感染症

 「かぜ症候群」(いわゆる「かぜ」)は日常診療において最も遭遇する疾患の1つです。主にウイルス感染によって発生する上気道感染で、くしゃみ、鼻水、発熱、のどの痛み、咳などの症状を認めます。ウイルスの種類によっては症状が強く合併症を起こしやすい場合があり、インフルエンザは高熱、関節痛、筋肉痛などの強い全身症状を伴うことから、かぜ症候群とは区別して考えます。乳幼児ではRS感染症が問題となります。

1)-(1) インフルエンザ

インフルエンザの年別・週別発生状況

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感染症発生動向調査 週報(IDWR)厚生労働省/国立感染症研究所 2012年第49週

 

 インフルエンザは例年12月~3月頃流行しますが、今季佐賀県においては例年よりずいぶん早く10月末に流行期に入り、その後も増加が続いています。インフルエンザはいわゆる「かぜ」と比べて、発熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛などの全身症状が強いのが特徴です。 インフルエンザを予防する手段としては、まずワクチン接種があげられます。咳エチケットや手洗い等の手指衛生も重要です。インフルエンザにかかった場合には、早めに医療機関を受診し、抗インフルエンザ薬の投与を受けましょう。詳細は好生館コラム第33回「インフルエンザシーズンに備えて」をご覧ください。

 

1)-(2) RSウイルス感染症

RSウイルス感染症の年別・週別発生状況

 

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感染症発生動向調査 週報(IDWR)厚生労働省/国立感染症研究所 2012年第49週

 

 乳幼児を中心に例年冬季に流行する呼吸器感染症に、RSウイルス感染症があります。これはRespiratory Syncytial Virus(RSウイルス)により引き起こされる病気で、生後1歳までに半数以上が、2歳までにはほぼ100%の子供がかかると言われています。ウイルス感染が下気道や細気管支に及んだ場合には、特徴的なゼイゼイという呼吸、多呼吸などが見られます。大人は軽症ですみますが、乳幼児や基礎疾患がある小児がかかると重症化するおそれがありますので注意が必要です。近年迅速キットによる診断が可能となり、診断が容易となりました。 RSウイルス感染症は例年12月ごろに流行のピークを迎えますが、今年は9月の段階で昨年のピークを上回り、現在も流行が続いています。現在ワクチンはなく、予防のポイントは手洗いと咳エチケットです。特に保護者や保育所等の職員の方は、感染防止に努めてください。

 

1)-(3) 肺炎

 冬期には肺炎の増加が顕著となりますが、インフルエンザの流行期にはインフルエンザと細菌性肺炎の合併が問題となります。インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの併用により、肺炎による入院回数が著明に減少することが示されています。65歳以上の方、何らかの基礎疾患がある方は、ぜひ肺炎球菌ワクチン接種を受けられることをお勧めします。

 

2) 感染性胃腸炎

感染性胃腸炎の年別・週別発生状況

 

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感染症発生動向調査 週報(IDWR)厚生労働省/国立感染症研究所 2012年第49週

 

 感染性胃腸炎は多種多様の原因(細菌、ウイルス、寄生虫など)によるものを包含する症候群名ですが、冬季に流行する感染性胃腸炎の大半は、ノロウイルスやロタウイルス等 のウイルス感染によるものと推測されます。感染性胃腸炎の患者発生は例年11月に入ると急増し、12月にピークを迎えますが、本年度は比較的早く増加傾向を認め42週以降増加が続いており、過去10年間の同時期と比較した場合2006年に次ぐ高い値です。 感染性胃腸炎には12~1月頃に一度ピークができた後、2~4月にもう一つなだらかな山がみられます。前半はノロウイルスが多く、後半はロタウイルスが主な病原体であると考えられます。

 

2)-(1) ノロウイルス感染症

 ノロウイルスによる胃腸炎は、通常24~48時間の潜伏期の後、突然の吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などで発症します。通常3日程度で回復しますが、乳幼児や高齢者は脱水や、嘔吐物による窒息や肺炎に注意が必要です。牡蠣などのウイルスに汚染された食物からの感染がよく知られていますが、その他に患者の嘔吐物や下痢便を介してヒトからヒトに感染します。ノロウイルスの感染力は非常に強く、しばしば保育所や幼稚園、病院や高齢者施設等で集団発生が報告されています。 ノロウイルスの感染予防には、流水と石けんによる手洗いの励行と、食品等の十分な加熱、嘔吐物や下痢便の適切な処理がきわめて重要です。嘔吐物や下痢便の処理の際には手袋だけでなく、必ずマスクを着用しましょう。

2)-(2) ロタウイルス感染症

 ロタウイルスは、冬季乳幼児下痢症の代表的な原因ウイルスであり、6か月~3歳の乳幼児に多くみられます。その他のウイルス性胃腸炎と比較して症状がより強く、48~72時間の潜伏期の後に嘔吐、下痢、発熱が出現します。米のとぎ汁のような白色の下痢便が特徴で、「白色便性下痢症(白痢)」とも言われます。激しい嘔吐や下痢により脱水を起こしやすく、また時に合併症としてけいれん、肝炎、腎炎、脳症、腸重積などが認められます。 ロタウイルスの感染予防のためにワクチンが開発され、2011年11月より日本でも接種可能となりました。現在2種類のワクチンが発売されています。ノロウイルス感染と同様に感染力が強く、流水と石けんによる手洗いの励行、嘔吐物や下痢便の適切な処理を行うことが大切です。

 

3.予防

 いずれの感染症に対しても、自分自身がかからないよう、また他の人にうつさないようにしなければなりません。これらの感染症の予防には、何よりも手洗い、そしてワクチン接種が大事です。
当館でもインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン、ロタウイルスワクチン等の接種を行っています。
ご希望の方は、総合案内(午前中)、内科外来、小児科外来までお尋ねください。

 


患者さんへのお願い

好生館は主に専門的な医療や救急医療を担当する病院です。症状が安定しましたら、お近くの「かかりつけ医」をご紹介いたします。(その後は「かかりつけ医」と相談のうえ、必要に応じて当館を受診していただくことになります。)
皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。
好生館は、地域の「かかりつけ医」の先生方と連携して、患者さんへのより温かい充実した地域医療の提供に努めてまいります。

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