令和6年度 佐賀県医療センター好生館 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1383 334 298 425 811 1108 2165 3544 2301 554
(定義)
2024年度(2024年6月1日-2025年5月31日)中に当館を退院した患者さんのDPCデータを基に作成しております。DPCデータには自動車賠償責任保険や労災保険、自費、24時間以内死亡の患者さんのデータは含まれません。
(解説)
2024年度退院患者さんの人数を10歳間隔の年齢別階級で集計しています。年齢は入院時の満年齢です。
2024年度の当館の退院患者さんは、12,923名で、その構成比は60歳以上が66.3%、80歳以上が22.1%を占めています。また、小児科、小児外科、産婦人科を標榜しており、10歳未満の患者さんは13.3%を占めています。年代別の主な疾患は、10歳未満では、食物アレルギー、気管支喘息、川崎病、急性気管支炎、熱性痙攣、RSウイルス肺炎、鼠経ヘルニア、新型コロナウイルスなど、60歳以上では、腎癌・末期腎不全、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、2型糖尿病、肝細胞癌、急性骨髄性白血病、労作性狭心症などです。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
循環器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050070xx03x0xx 頻脈性不整脈-経皮的カテーテル心筋焼灼術-処置2:なし 167 4.89 4.47 1.20% 70.20
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患-経皮的冠動脈形成術等-処置1:なし、1,2あり-処置2:なし 126 3.92 4.18 0.00% 68.67
050130xx9900x0 心不全-手術なし-処置1:なし-処置2:なし-他の病院・診療所の病棟からの転院以外 70 15.47 17.33 21.43% 81.79
050050xx9920xx 狭心症、慢性虚血性心疾患-手術なし-処置1:2あり-処置2:なし 69 3.12 3.27 0.00% 69.09
050050xx9910xx 狭心症、慢性虚血性心疾患-手術なし-処置1:1あり-処置2:なし 65 3.25 3.07 0.00% 67.14
2024年度の循環器内科延べ入院数は1505名、緊急入院患者数は479名でした。平均在院日数は7.9日。入院患者の内訳としては虚血性心疾患が最も多く、次いで心房細動となっています。急性心筋梗塞、うっ血性心不全などの緊急入院も例年と同様でした。当院は循環器内科と心臓血管外科が同じ病棟で診療(ハートセンター病棟)を行っており、定期的なカンファレンスも含めて密な連携を行い、患者様に的確な医療を提供しております。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 121 4.86 6.22 0.83% 0.97
0400801199x0xx 肺炎等(1歳以上15歳未満)-手術なし-処置2:なし 115 4.80 5.61 0.00% 5.10
080270xxxx1xxx 食物アレルギー-処置1:あり 93 1.11 2.10 0.00% 5.54
040100xxxxx00x 喘息-処置2:なし-副病:なし 65 5.31 6.38 0.00% 3.31
030270xxxxxxxx 上気道炎 54 4.19 4.71 0.00% 2.15
 小児科では、令和6年度は、マイコプラズマ感染症、RSウイルス感染症の流行が目立ち、同感染症に関連する、急性気管支炎・肺炎、気管支喘息・小児喘息性気管支炎といった呼吸器疾患の入院が多くみられました。食物アレルギーに対する経口食物負荷試験もさらに入院数が増加していました。負荷試験を除くと、多くは急性感染症で、マイコプラズマ感染症の流行で平均年齢は例年よりやや高めでしたが、入院期間は5日前後とかわりありませんでした。地域の先生方と連携を取りながら治療を行っており、退院後はかかりつけの先生方に逆紹介を行い、引き続き加療を行っていただくようにしています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx02xxxx 股関節・大腿近位の骨折-人工骨頭挿入術 肩、股等 127 22.05 25.29 70.87% 83.14
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。)-人工関節再置換術等 65 20.52 21.38 73.85% 73.95
160760xx01xxxx 前腕の骨折-骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨等 46 6.37 5.95 4.35% 68.54
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。)-人工関節再置換術等 37 20.19 18.76 54.05% 70.97
160720xx01xxxx 肩関節周辺の骨折・脱臼-骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿等 26 16.81 14.04 50.00% 68.12
 超高齢社会において、大腿骨近位部骨折(足の付け根の骨折)、橈骨遠位端骨折(手首の骨折)や椎体骨折(背骨の骨折)が今後増加の一途をたどることは間違いありません。これらの骨折は歩行・移動機能の低下や認知症の悪化を引き起こし,その結果寝たきりになりがちで、本人のみならず家族や社会においても大きな負担となります。当科では可能な限り早期に適切な手術と、その後の手厚いリハビリによって、これらの機能低下や寝たきりの予防に取り組んでいます。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。)-手術あり-処置1:なし 20 4.20 4.65 0.00% 51.50
160200xx030xxx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。)-鼻骨骨折整復固定術等-処置1:なし 11 3.00 3.31 0.00% 21.73
180060xx97xxxx その他の新生物-手術あり - - 5.63 - -
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外)-皮膚悪性腫瘍切除術等-処置2:なし - - 6.92 - -
090010xx05xxxx 乳房の悪性腫瘍-ゲル充填人工乳房を用いた乳房再建術(乳房切除後) - - 7.26 - -
 当科の対象疾患としては、外傷、先天異常、腫瘍、瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド、難治性潰瘍、炎症・変性疾患などがあります。特に入院で頻度の高い疾患は、皮下腫瘍(良性腫瘍)、鼻骨骨折です。他にも副耳や耳瘻孔など先天奇形に対しての手術や、乳癌切除後の乳房再建術なども行っています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷-手術なし-処置2:なし-副病:なし 20 13.10 7.99 50.00% 68.85
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷-その他の手術あり-処置2:なし-副病:なし 15 14.27 9.83 46.67% 73.40
010030xx991xxx 未破裂脳動脈瘤-手術なし-処置1:あり 12 3.00 2.86 0.00% 65.17
010070xx9912xx 脳血管障害-手術なし-処置1:あり-処置2:2あり 11 2.91 4.75 0.00% 60.73
010030xx01x0xx 未破裂脳動脈瘤-脳動脈瘤頸部クリッピング等-処置2:なし - - 14.80 - -
 2024年度(2024年4月1日~2025年3月31日)の脳神経外科入院患者総数は353人でした。疾患別割合は脳血管障害183人(51.8%)、神経外傷94人(26.6%)、脳脊髄腫瘍36人(10.2%)、水頭症27人(7.6%)、その他22人(6.2%)でありました。例年、脳血管障害と頭部外傷の占める割合が高く、両者で約78%に及んでいます。
 当科で対応する疾患は、脳血管障害、頭部外傷、脳腫脊髄腫瘍、三叉神経痛や顔面けいれんなどの機能的疾患、特発性正常圧水頭症など脳神経外科全般にわたります。脳血管障害の分野では脳血管外科医と脳血管内治療医の密接なコミュニケーションにより、直達術と血管内治療の適切な振り分けがなされています。また、ハイブリッド手術室を有しており、脳動静脈奇形や高難度動脈瘤に対する集学的治療も手掛けています。血管障害以外の分野では、下垂体腫瘍や頭蓋底腫瘍など良性腫瘍の治療にも力を入れております。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx02x0xx 肺の悪性腫瘍-肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの等-処置2:なし 80 9.03 9.82 0.00% 71.01
040010xx01x0xx 縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍-縦隔悪性腫瘍手術等-処置2:なし 10 8.40 8.41 0.00% 63.50
160450xx99x10x 肺・胸部気管・気管支損傷-手術なし-処置2:あり-副病:なし - - 10.79 - -
040200xx01x00x 気胸-肺切除術等-処置2:なし-副病:なし - - 9.59 - -
040200xx99x00x 気胸-手術なし-処置2:なし-副病:なし - - 9.28 - -
 呼吸器外科で扱う疾病は、原発性肺悪性腫瘍(肺がん)のほか転移性肺腫瘍・肺良性腫瘍・縦隔腫瘍・胸膜腫瘍・気胸嚢胞性疾患・膿胸・中枢起動狭窄などが挙げられます。当科で最も扱う頻度が高い疾病は肺の悪性腫瘍で、入院治療は標準的な治療計画・検査計画で構成されたクリニカルパスを使用し周術期管理を行っております。このパス運用において生じたバリアンスに対する検討も加えられ、定期的にクリニカルパスの見直しも行われます。肺悪性腫瘍に対する手術加療のここ最近の傾向としましては、平均在院日数は0.9日で、治療後に他院へ転院した患者さんは1%以下で、基本的に術後は自宅退院可能となっています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患-下肢静脈瘤手術等 41 2.00 2.66 0.00% 69.24
050163xx02x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤-大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)等-処置2:1あり 13 26.62 18.74 0.00% 69.08
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤-ステントグラフト内挿術-処置2:なし 11 15.82 10.18 0.00% 82.18
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。)-ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等-処置1:なし-処置2:1あり 10 24.20 20.84 20.00% 64.00
050050xx0101xx 狭心症、慢性虚血性心疾患-心室瘤切除術(梗塞切除を含む。) 単独のもの等-処置1:なし-処置2:1あり - - 21.11 - -
 2024年は3名のスタッフで、心臓血管外科領域をほぼ網羅する疾患内容で総数358例の手術を施行しました。実施した手術の内訳は心臓大血管手術が75例、腹部末梢血管手術では腹部大動脈瘤が34例、下肢末梢動脈疾患が49例、下肢静脈瘤が39例、透析シャント関連手術が144例でした。上記症例の内、血管内治療としての胸部・腹部ステントグラフト内挿術は22例でした。外来手術を97例に施行しました。ドクターヘリの普及により県内外より急性大動脈解離などの緊急手術を受け入れました。血管内治療は低侵襲性に優れており、かつ患者満足度が高いので今後も継続していく予定です。
小児外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x101xxxx 鼠径ヘルニア(15歳未満)-ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 63 2.48 2.73 0.00% 4.00
060170xx02xx0x 閉塞、壊疽のない腹腔のヘルニア-ヘルニア手術 腹壁瘢痕ヘルニア等-副病:なし 26 3.00 6.85 0.00% 1.85
060150xx03xxxx 虫垂炎-虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 14 4.57 5.32 0.00% 10.71
140590xx97xxxx 停留精巣-手術あり 13 3.08 2.96 0.00% 2.31
11022xxx01xxxx 男性生殖器疾患-精索捻転手術等 - - 3.53 - -
 2024年度の小児外科の入院患者数は230名で、うち手術を行った患者数は210名です。最も頻度の高い小児外科疾患は鼠径ヘルニアで、当科においても入院患者の1/3以上を占めております。他に予定手術としては臍ヘルニア、停留精巣などが多く、これらの疾患で入院患者の60%以上を占めています。これらは共通したクリニカルパスを用いて標準化された周術期管理を行い、1泊2日または2泊3日の入院期間となっています。一方、急患手術でもっとも多いのは、急性虫垂炎です。本表の3位となっている膿瘍を伴わない虫垂炎では、術後3〜4日で退院となることが多いです。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍-腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 129 5.76 5.88 0.00% 43.41
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍-卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 72 5.83 5.97 0.00% 42.72
12002xxx02xxxx 子宮頸・体部の悪性腫瘍-子宮頸部(腟部)切除術等 62 2.39 2.92 0.00% 38.10
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍-子宮悪性腫瘍手術等-処置2:なし 53 6.38 9.84 0.00% 51.58
120100xx01xxxx 子宮内膜症-子宮全摘術等 41 6.20 6.69 2.44% 40.88
佐賀県内の産婦人科基幹施設はそれぞれ役割分担をしており、進行悪性腫瘍、高度周産期医療は他施設での取り扱いが多く、当院は良性婦人科疾患を中心に他施設で取り扱わない婦人科疾患を中心に取り扱っています。内視鏡下手術をはじめとした低侵襲治療を積極的に取り扱っています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患-手術あり-片眼 246 2.03 2.49 0.00% 74.79
020240xx97xxx0 硝子体疾患-手術あり-片眼 22 5.96 4.83 0.00% 78.73
020220xx97xxx0 緑内障-その他の手術あり-片眼 19 3.84 4.52 0.00% 72.42
020160xx97xxx0 網膜剥離-手術あり-片眼 12 10.50 7.53 0.00% 54.33
020220xx01xxx0 緑内障-緑内障手術 濾過手術-片眼 10 12.80 8.69 0.00% 65.90
 手術症例としては、白内障症例が最も多いが、網膜剥離や、増殖糖尿病網膜症、網膜前膜、黄斑円孔などの網膜硝子体疾患についても対応している。近年、低侵襲緑内障手術方法が拡充するとともに、緑内障に対する手術症例数が増加傾向である。一方で、低侵襲手術では眼圧下降効果が得られにくい場合にはこれまでの術式である濾過手術を行い、充分な眼圧下降効果が得られるような体制を整えている。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 99 6.95 7.35 0.00% 19.69
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 77 5.99 5.84 0.00% 55.17
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍-手術あり 21 5.91 6.68 0.00% 61.81
030428xxxxx0xx 突発性難聴-処置2:なし 20 7.80 8.21 0.00% 55.65
030320xxxxxxxx 鼻中隔弯曲症 18 6.00 5.63 0.00% 39.50
 令和6年度における当科入院患者の内訳を診断群分類別にみると、最も多いのは慢性扁桃炎、アデノイド増殖症、扁桃肥大などの手術目的の入院です(99例)。平均年齢は20歳であり、比較的若年者が多い傾向にあります。当院の平均在院日数は7日です。
2番目に多いのは、慢性副鼻腔炎に対する手術目的の入院です(77例)。平均年齢は56歳であり、高齢化の傾向にあります。最近は難治性の好酸球性副鼻腔炎の割合が多くなっています。また、手術はほぼ100%内視鏡下に行っており、術後の痛みも比較的少なく、以前手術を躊躇した方も一度ご相談されることを勧めます。当院の平均在院日数は6日です。
3番目に多いのは、良性腫瘍に対する手術加療目的の入院です(21例)。平均年齢は61歳、平均在院日数は6日です。
4番目に多いのは、突発性難聴に対するステロイド点滴加療目的の入院です(20例)。平均年齢は56歳、平均在院日数は8日です。
5番目に多いのは、鼻中隔弯曲症に対する手術目的の入院です(18例)。主な症状は鼻閉です。患者平均年齢は40歳となっています。当院での入院期間は平均6日です。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060xx99x20x 脳梗塞-手術なし-処置2:2あり-副病:なし 66 15.67 16.94 50.00% 75.71
010060xx99x40x 脳梗塞-手術なし-処置2:4あり-副病:なし 39 16.44 16.89 51.28% 69.77
010040x199x0xx 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上)-手術なし-処置2:なし 27 25.04 22.21 92.59% 77.11
010230xx99x30x てんかん-手術なし-処置2:3あり-副病:なし 27 12.04 12.42 37.04% 72.59
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満)-手術なし-処置1:なし-処置2:なし-副病:なし 21 18.62 18.68 80.95% 67.43
 2024年度の入院患者数は606名でした。入院患者の内訳は例年通り、脳卒中が60%と最も多く、次いでてんかんが12%を占めるなど緊急入院が多数を占めました。他の疾患では、認知症関連疾患、末梢神経疾患が4%、神経免疫疾患、パーキンソン病関連疾患が3.6%、神経感染症が3.3%、手術の必要のない外科疾患が2.5%、運動ニューロン疾患が0.8%、その他が6.4%でした。急性期脳梗塞患者へのrt-PAの投与は31例であり、脳外科と協力して行った血栓回収療法は39例でした。
 外来治療では、アルツハイマー病に対する抗アミロイドβ抗体の投与、進行期パーキンソン病患者に対するホスレボドパ・ホスカルビドパ持続皮下注療法、神経免疫疾患に対する分子標的薬治療も昨年度に引き続き積極的に行っています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物-皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等-処置1:なし 38 3.24 3.77 0.00% 54.16
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外)-皮膚悪性腫瘍切除術等-処置2:なし 34 4.91 6.92 0.00% 79.53
080010xxxx0xxx 膿皮症-処置1:なし 18 13.06 12.98 11.11% 64.50
080005xx01x0xx 黒色腫-皮膚悪性腫瘍切除術等-処置2:なし - - 11.59 - -
070395xx970xxx 壊死性筋膜炎-手術あり-処置1:なし - - 35.40 - -
当科では、湿疹や感染症、皮膚腫瘍など皮膚疾患全般に対応しています。
入院して行う手術では、基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫などの悪性腫瘍はもちろん、脂肪腫や類表皮嚢腫などの良性腫瘍も扱っています。また、熱傷や壊死や壊死性筋膜炎に対する手術や治療も行います。
手術以外では、蜂窩織炎や丹毒などの細菌感染症、帯状疱疹などのウイルス感染症の治療も行います。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:あり 77 2.01 2.45 0.00% 70.61
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患-経尿道的尿路結石除去術-副病:なし 60 5.87 5.16 3.33% 64.68
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍-膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術-処置2:なし 47 6.60 6.81 4.26% 74.91
110070xx03x20x 膀胱腫瘍-膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術-処置2:2あり-副病:なし 37 6.32 6.63 2.70% 73.14
11001xxx01x0xx 腎腫瘍-腎(尿管)悪性腫瘍手術等-処置2:なし 27 9.93 10.12 0.00% 65.81
泌尿器科で主に診療している疾患は、泌尿器悪性腫瘍、尿路結石症および有熱性尿路感染症などになります。
2024年度の泌尿器科DPC名称で最多のものは、前立腺癌疑いに対する経会陰式前立腺針生検で77名(平均年齢70.6歳)が入院されました。2番目は上部尿路結石に対する経尿道的尿路結石除去術で60名(平均年齢64.6歳)が入院されました。泌尿器悪性腫瘍に関しては、前立腺癌・腎癌・膀胱癌・腎盂尿管癌などが多く、膀胱癌に対する手術症例が最多です。また前立腺癌や腎癌、膀胱癌に対するロボット支援手術も行っています。尿路結石症に関しては、レーザーを用いた経尿道的尿路結石除去術を行っています。また尿路結石に伴う発熱性尿路感染症の急患にも対応しています
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:あり-処置2:なし 92 2.63 3.03 1.09% 71.50
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:4あり-副病:なし 56 8.30 8.16 1.79% 72.38
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上)-手術なし-処置2:なし 51 14.10 16.40 21.57% 81.82
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:なし 38 15.16 13.41 13.16% 74.47
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎-手術なし-処置2:なし 32 15.22 20.78 34.38% 83.22
R6年度の呼吸器内科新入院患者数は900人/年(前年度プラス48人)でした(企画経営課データ)。そのうち肺癌を含む呼吸器悪性腫瘍は化学療法、放射線治療、症状緩和目的の入院などすべて合わせて396人/年でした。肺癌に対する薬物療法は近年、殺細胞性抗癌剤以外にも分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤など治療選択肢が広がっており、治療を安全に行うべく初回治療は入院で行っております。また肺癌の確定診断および治療方針決定のため気管支鏡検査による組織採取が必要であり、当館では患者様の苦痛を軽減するために鎮痛剤・鎮静剤を使用し1泊2日の入院検査で行っております。R6年度の検査総数は215件でした(診療科データ)。
呼吸器悪性腫瘍以外で入院加療が多い疾患として細菌性肺炎を始めとした呼吸器感染症があります。R6年度の細菌性肺炎による入院患者は226人/年、膿胸・胸水による入院患者は27人/日でした(診療科データ)。入院にて抗菌剤投与、酸素投与、胸腔ドレナージなどの治療を行っています。

腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx9902xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-手術なし-処置1:なし-処置2:2あり 43 3.42 7.83 0.00% 67.28
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-手術なし-処置1:なし-処置2:なし 41 7.71 11.35 2.44% 64.05
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-動脈形成術、吻合術 その他の動脈等-処置2:なし-副病:なし 29 7.66 7.38 3.45% 71.07
110280xx01x2xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術等-処置2:2あり 11 25.64 27.87 0.00% 70.18
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-手術なし-処置1:なし-処置2:1あり 10 15.80 13.75 0.00% 69.40
1)はじめに
わが腎臓内科は、日本腎臓学会認定施設、日本透析医学会認定施設、財団法人腎研究会透析医療従事職員研修実習指定施設であり、佐賀県の腎疾患の中心的施設の一つに位置付けられています。また、当院の人工透析室では40名の血液透析患者受け入れが可能です。
2)スタッフ
2024年度はスタッフ2名(中村 恵、松本 圭一郎)、シニアレジデント4名(力久哲郎、藤井 真子、小林 雄彦、神林 眉裕理が診療に携わりました。
3)診療実績
 診療内容は、腎炎・血管炎、ネフロ―ゼ症候群、糖尿病性腎症、慢性腎臓病、急性及び慢性腎不全、透析療法(血液透析、腹膜透析、血液浄化療法(血漿交換・血液吸着・血液濾過等)、腹水濾過濃縮再静注法)などすべての内科的腎疾患、及び透析合併症に対応しています。2024年度の新規入院患者は362名で、その内訳は、末期腎不全(血液透析及び腹膜透析導入含む)115名、慢性腎臓病(腎不全教育入院含む)55名、慢性糸球体腎炎54名、透析合併症44名、感染症36名、急性腎不全30名、急速進行性糸球体腎炎9名、その他19名でした。腎生検は27件施行しています。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130010xx99x9xx 急性白血病-手術なし-処置2:9あり 44 11.18 12.45 0.00% 71.91
130030xx99xbxx 非ホジキンリンパ腫-手術なし-処置2:Bあり 43 13.42 12.23 6.98% 68.86
130030xx99xcxx 非ホジキンリンパ腫-手術なし-処置2:Cあり 33 14.15 10.60 3.03% 66.61
130010xx97x9xx 急性白血病-手術あり-処置2:9あり 25 35.28 34.69 4.00% 73.04
130020xx99x4xx ホジキン病-手術なし-処置2:4あり 23 11.91 10.85 0.00% 73.17
2024年度に入院治療を行った延べ患者数は222人でした。入院血液疾患患者の疾患内訳は悪性リンパ腫,白血病,多発性骨髄腫が取り扱い3大疾患です。
急性白血病に対する治療として化学療法行います。最初に寛解導入療法を行いその後数回の地固め療法を必要とします。そのため数回の入院が必要です。殆どの患者さんは安全に化学療法を行うため無菌病棟に入室していただいています。また通常の強力な化学療法が難しい患者さんに対する新たな治療法(ベネトクラクス+アザシチヂン療法)や、抗体医薬(ブリナツモマブ・イノツズマブオゾガマイシン)の導入により、治療成績の改善が期待されています。
非ホジキンリンパ腫では抗体医薬(リツキシマブ・オビヌツズマブ・ブレンツキシマブベドチン・ポラツズマブベトチンなど)や化学療法を組み合わせた治療を行います。化学療法中もできるだけご自宅で過ごせるように一時退院を繰り返しながら治療を継続します。問題なく化学療法ができる患者さんでは外来化学療法も行っています。
多発性骨髄腫では、近年新たな骨髄腫治療薬が次々と開発され、これらの薬剤を組み合わせた治療により、治療成績が向上しています。治療の導入は入院で行い、その後は外来化学療法へ移行します。
さらに、実施可能な患者さんに対しては、自家および同種造血幹細胞移植を積極的に行い、更なる治療成績の改善に務めています。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。)-内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 123 2.22 2.57 0.00% 70.52
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍-内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 56 7.66 7.45 1.79% 76.27
060140xx97x0xx 胃十二指腸潰瘍、胃憩室症、幽門狭窄(穿孔を伴わないもの)-その他の手術あり-処置2:なし 35 8.69 10.93 17.14% 71.63
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞-手術なし-処置1:なし-処置2:なし-副病:なし 25 9.28 9.08 4.00% 66.16
060035xx99x6xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍-手術なし-処置2:6あり 19 5.21 4.64 0.00% 62.00
 消化器内科で最も多い症例は、大腸ポリープや早期大腸がんに対する内視鏡的治療(内視鏡的粘膜切除術やポリープ切除など)です。1泊2日の短期入院で行う場合もありますが、治療後出血の危険性が低い多くの症例では外来で実施しています。粘膜下層剥離術の場合には切除面積が大きくなるため、1週間程度の入院加療が必要となります。良性の範疇であっても、がんに移行する可能性がある腺腫や前がん病変に対しては、がんと同様に内視鏡治療を行っています。
 内視鏡的止血術を行う症例も多くみられます。特に抗血栓薬の使用頻度が高い高齢者では、大腸憩室出血や胃・十二指腸潰瘍出血がしばしば認められ、輸血を要することも多いため、1週間程度の入院が必要となる場合があります。
消化器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060035xx0100xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍-結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等-処置1:なし-処置2:なし 57 15.11 14.81 5.26% 72.70
060020xx02xxxx 胃の悪性腫瘍-胃切除術 悪性腫瘍手術等 49 20.65 18.48 6.12% 74.08
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上)-ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 49 4.33 4.54 0.00% 73.51
060150xx03xxxx 虫垂炎-虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 30 5.33 5.32 3.33% 53.53
060040xx0300xx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍-直腸切除・切断術 切除術等-処置1:なし-処置2:なし 25 15.08 14.91 0.00% 70.64
当館の消化器外科では、消化器癌の外科治療(手術)を主に担当しています。消化器癌の中でも比較的罹患率の高い胃癌、大腸癌(結腸癌および直腸癌)が当館での症例数が多い状況にあります。特に大腸癌は近年増加傾向にあり、当館でも年々症例が増えてきています。これらの消化器がん治療は20年前までは開腹手術で行われることが多く、体の負担(侵襲)が大きい治療でしたが、腹腔鏡手術やロボット手術などの低侵襲手術の適応が拡大されてきました。当館では約10年前よりほぼ全例を低侵襲手術で行うようになっています。佐賀県では高齢化が顕著で、それに伴い患者さんの術前合併症(持病)保有率も高い傾向にあります。この低侵襲手術を駆使すると同時に、他の診療科や他職種と連携を取り、“オール好生館”で診療にあたることで、平均在院日数も短く質の高い診療を提供しています。さらに昨今の外科医減少に伴い、地域的に外科治療を担う施設が減少し、消化器癌外科治療のみならず、良性疾患に対する外科治療や腹部救急手術に対応できる医療機関が限られているため、当科で急性虫垂炎や鼠径ヘルニア手術も多く手がけているのが現状です。
肝胆膵外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060335xx0200xx 胆嚢炎等-腹腔鏡下胆嚢摘出術等-処置1:なし-処置2:なし 103 6.31 7.05 0.97% 65.16
060050xx020xxx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。)-肝切除術 部分切除等-処置1:なし 26 13.46 13.83 3.85% 72.38
06007xxx020xxx 膵臓、脾臓の腫瘍-膵体尾部腫瘍切除術 膵尾部切除術の場合等-処置1:なし 10 21.70 20.92 10.00% 72.20
060335xx99x0xx 胆嚢炎等-手術なし-処置2:なし - - 11.29 - -
06007xxx010xxx 膵臓、脾臓の腫瘍-膵頭部腫瘍切除術等-処置1:なし - - 27.83 - -
肝胆膵外科では、肝臓、胆道、膵臓、脾臓の良性および悪性疾患の主に外科治療を担当しています。
良性疾患では、胆石・胆嚢炎の患者さんが最も多く、胆管炎も含め、内科と連携しながら、腹腔鏡手術での治療を行なっています。
悪性疾患では、肝臓癌・胆道癌・膵臓癌の治療を行なっています。肝胆膵悪性腫瘍は、他の腫瘍と比較して悪性度の高いものが多く、術前・術後化学療法を含めた集学的治療を行い、予後改善を目指しています。
これらの悪性腫瘍に対する手術として、消化器外科と同様に肝胆膵外科でも腹腔鏡やロボット手術が行われるようになりました。肝臓癌に関しては、現在7割以上が腹腔鏡もしくはロボット手術で治療を行なっています。また、膵体尾部の腫瘍に対しても、腹腔鏡・ロボット手術の導入を行っています。
肝胆膵内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎-限局性腹腔膿瘍手術等-処置2:なし-副病:なし 138 9.38 8.88 8.70% 76.93
06007xxx9900xx 膵臓、脾臓の腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:なし 31 10.42 11.01 12.90% 72.52
06007xxx97x0xx 膵臓、脾臓の腫瘍-その他の手術あり-処置2:なし 25 10.04 11.52 8.00% 70.48
060340xx99x0xx 胆管(肝内外)結石、胆管炎-手術なし-処置2:なし 24 8.79 9.45 8.33% 73.38
06007xxx9910xx 膵臓、脾臓の腫瘍-手術なし-処置1:あり-処置2:なし 23 3.22 4.08 0.00% 74.04
2024年度はスタッフ4名とシニアレジデント2名の体制で診療を行いました。当科は肝胆膵の幅広い領域を担っており、各分野で標準的検査・治療を実践しています。佐賀県の肝疾患専門医療機関として、専門医による肝癌の診断と早期発見、治療、その原因であるウイルス性肝炎治療を行っています。また、胆嚢、胆管及び膵臓の悪性腫瘍、胆管炎、胆嚢炎、急性膵炎などの治療も行っています。2023年度の入院患者疾病内訳(総数 735例)は、原発性肝癌117例、慢性肝疾患46例、急性肝障害5例、急性胆道炎188例、胆道癌81例、膵癌191例、急性膵炎30例、その他77例でした(全て延べ数)。
糖尿病代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)-処置2:1あり 114 12.84 13.77 1.75% 64.98
10006xxxxxx1xx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)-処置2:1あり 12 12.58 12.60 0.00% 49.33
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡-処置2:なし-副病:なし - - 13.07 - -
100393xx99xxxx その他の体液・電解質・酸塩基平衡障害-手術なし - - 9.83 - -
100202xxxxxx0x その他の副腎皮質機能低下症-副病:なし - - 8.86 - -
糖尿病代謝内科では、1型、2型糖尿病患者さんの加療を中心に行っています。合併症が進行し、インスリン加療を必要とする方の割合が高いことや妊娠糖尿病、がんなどの手術前コントロール、心筋梗塞・脳梗塞発症後の加療など特殊な方も含まれることが特徴です。
また、原発性アルドステロン症をはじめとする副腎疾患等の内分泌診療も担当しております。
腫瘍治療科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060035xx99x5xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍-手術なし-処置2:5あり 52 3.98 4.42 0.00% 65.52
060020xx9905xx 胃の悪性腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:5あり 50 2.28 6.25 0.00% 62.56
060020xx9903xx 胃の悪性腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:3あり 24 4.08 6.17 0.00% 62.92
060040xx99x5xx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍-手術なし-処置2:5あり 24 3.50 4.33 0.00% 65.88
060035xx99x6xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍-手術なし-処置2:6あり 20 2.00 4.64 0.00% 45.25
昨今、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬等の登場に伴い、通院事情や入院保険適応希望等の理由で短期入院化学療法の要望も少なくないことから、クリニカルパスを用いた短期入院化学療法を、胃、大腸の悪性腫瘍を中心に導入しております。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 113 18 38 188 42 84 1 8
大腸癌 46 49 50 177 58 114 2 9
乳癌 - - - - - 12 1 8
肺癌 69 58 64 148 154 34 1 8
肝癌 14 12 12 17 12 76 2 6
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
病期毎の実患者数ではなく入院数によるデータです。また、がんの種類によっては含まれていないステージがあるため、がんの正しい病期の分布を反映してはいません。

① 高度進行がん・再発がんの症例数は抗癌剤治療により、繰り返しの入院治療が行われるため、同一患者の繰り返し入院までカウントされています。したがって、高度進行がん・再発がんの症例が、実患者数より多い患者数となっています。
② 大腸がんでは、ステージ0の症例が除外されています。従って、より早期であるステージ0の症例を加えると、表記しているステージ1よりもかなり多くなります。
③ 肺がんの高度進行ステージIVの症例数は、複数回の入院化学療法のため、実患者数よりも多くなっています。また、肺がんの不明例が突出して多いのは、確定診断のための検査(気管支鏡)入院の症例であり、入院中には病期分類が判明しないため『不明』となっています。胃がん・大腸がんにおいてもESD(内視鏡的粘膜剥離術)入院時に病期分類が判明しないため『不明』が多くなっています。
④ 肝臓がんに関しても、例年通り再発症例が多く、かつ頻回の入院治療を繰り返すため、再発例が同一患者で重複し、多数例となっています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 16 9.13 52.13
中等症 111 14.72 74.38
重症 25 21.64 80.00
超重症 - - -
不明 - - -
成人肺炎診療ガイドライン2024によると市中肺炎は病院外で日常生活をしている人に発症する肺炎と定義されています。
肺炎の典型的な症状は発熱、咳嗽、喀痰、呼吸困難、胸痛であすが、高齢者ではこれらの症状は乏しく、食欲低下や意識障害のみのことがあります。また肺炎の死亡者の多くは65歳以上の高齢者です。高齢者の肺炎死亡率は近年ほとんど変化がなく、わが国における肺炎の死亡数の増加は高齢化の進行に伴う現象と考えられます。
 肺癌の重症度は、A-DROPスコアと呼ばれるもので評価できます。このスコアは年齢、性別、意識状態、呼吸回数、血圧、脱水・尿素窒素の値の5つの評価項目で構成され、点数に応じて軽症、中等症、重症、超重症に分類されます。当院で入院を必要とした市中肺炎の患者さんは中等症が最も多く、重症度が上がると長い治療期間を要し、高齢の患者さんが増加しています。
肺炎の治療は抗菌剤投与が中心となりますが、低酸素血症を伴っている方は酸素投与など呼吸管理が必要となります。呼吸不全に対する治療として患者さんに負担が少ない呼吸管理(ハイフロセラピー)を積極的に活用し、さらに重症患者については集中治療部とも連携し最適な治療を行っています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 204 20.18 76.99 49.59%
その他 42 18.57 74.57 9.76%
好生館の脳卒中センターには、2024年度に発症から3日以内の脳梗塞の入院が204人ありました。平均年齢は、77.0歳と多くは高齢者です。入院当日にtPA治療や血栓回収術といった治療を集中的に行い、その後はリハビリテーション、合併症の治療、再発防止の治療を行います。当館での平均在院日数は20日です。さらなるリハビリが必要な場合は、回復期リハビリテーション病院に転院してリハビリ継続していただいています。脳梗塞の49.6%の患者さんがリハビリ転院しています。脳梗塞は一旦発症すると後遺症が残ることが多く、発症予防のためには高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙、心房細動などの生活習慣病の厳格な管理が重要です。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
循環器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 185 2.34 3.16 2.70% 70.81
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 101 2.49 2.97 2.97% 69.38
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) 39 0.31 10.92 10.26% 73.18
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 37 1.38 4.00 0.00% 76.19
K5461 経皮的冠動脈形成術(急性心筋梗塞) 33 0.00 14.18 24.24% 68.12
2024年度の手術件数は、急性冠症候群(急性心筋梗塞・不安定狭心症)や慢性冠動脈疾患に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が292件、末梢動脈疾患に対する経皮的動脈形成術(EVT)が43件、経皮的心筋カテーテルアブレーションが201件、ペースメーカーなどの心臓植え込みデバイス手術が123件でした。特に急性冠症候群に対する治療は一刻を争うため、地域中核病院として365日、24時間体制で診療を行っております。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) etc. 144 1.98 17.15 62.50% 77.40
K0821 人工関節置換術(膝) etc. 114 1.54 17.61 67.54% 72.60
K0462 骨折観血的手術(前腕) etc. 74 2.15 6.18 17.57% 61.77
K0483 骨内異物(挿入物を含む。)除去術(下腿) etc. 54 1.24 2.59 3.70% 53.85
K0811 人工骨頭挿入術(股) etc. 49 3.69 18.04 73.47% 81.69
 最も多い大腿近位部骨折(足の付け根の骨折)に対しては、受傷後早期に骨をつなげる手術や人工骨頭の挿入手術を行なう事で骨折前に近い状態まで戻ることが可能となります。また、すり減った股関節・膝関節に人工関節手術を行い、疼痛の消失、歩容改善を計ります。股関節はほとんど脱臼しない方法を採用しており日常生活の制限を必要としません。また膝関節も部分的な人工関節手術も実施しており、術後の疼痛が少なく小さな傷で手術可能です。脊椎に関しては変性側弯(年齢とともに、背骨が変形して背中が曲がる)に必要な矯正を行い、疼痛や神経痛を取り除く手術も多く実施しています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K333 鼻骨骨折整復固定術 13 1.00 1.00 0.00% 22.08
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm未満) 11 0.73 1.00 0.00% 20.45
K0053 皮膚,皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径4㎝以上) etc. - - - - -
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6㎝以上、12㎝未満) etc. - - - - -
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) - - - - -
当科の手術としては、鼻骨骨折整復固定術が最も多い手術となります。次に多い手術は皮膚・皮下摘出術です。小さい腫瘍は外来で切除可能ですが、大きな腫瘍や出血のリスクがある場合などは入院で手術を行っています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 26 2.96 12.81 65.38% 78.23
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 18 0.61 20.56 22.22% 59.33
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 11 3.00 17.18 18.18% 57.55
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 11 6.91 6.73 18.18% 74.82
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内) - - - - -
 2024年度(2024年4月1日~2025年3月31日)の脳神経外科入院患者総数は353人でした。疾患別割合は脳血管障害183人(51.8%)、神経外傷94人(26.6%)、脳脊髄腫瘍36人(10.2%)、水頭症27人(7.6%)、その他22人(6.2%)でありました。例年、脳血管障害と頭部外傷の占める割合が高く、両者で約78%に及んでいます。
 当科で対応する疾患は、脳血管障害、頭部外傷、脳腫脊髄腫瘍、三叉神経痛や顔面けいれんなどの機能的疾患、特発性正常圧水頭症など脳神経外科全般にわたります。脳血管障害の分野では脳血管外科医と脳血管内治療医の密接なコミュニケーションにより、直達術と血管内治療の適切な振り分けがなされています。また、ハイブリッド手術室を有しており、脳動静脈奇形や高難度動脈瘤に対する集学的治療も手掛けています。血管障害以外の分野では、下垂体腫瘍や頭蓋底腫瘍など良性腫瘍の治療にも力を入れております。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの) etc. 45 1.00 7.27 0.00% 71.36
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除)(内視鏡手術用支援機器を用いて行った場合) etc. 26 1.00 6.96 0.00% 68.04
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 22 1.00 6.82 0.00% 72.36
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) - - - - -
K5132 胸腔鏡下肺切除術(部分切除) - - - - -
 当科で最も多く提供している手術は、原発性肺悪性腫瘍および転移性肺腫瘍といった肺悪性腫瘍に対するものです。原発性肺悪性腫瘍に関しては臨床病期
・悪性度および患者さんの耐術能や背景を十分に考慮・検討し最終的術式選定を行います。
 原発性肺悪性腫瘍に対する当科での標準的手術は、胸腔鏡(硬性内視鏡)を使用しながら癌が存在する肺葉を切除する胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術を基本と
しています。しかしながら症例によっては部分切除や区域切除といった縮小手術を選択する場合もあります。また、腫瘍の局在や病期進行度などによっては従
来行われてきた開胸(肋間を開大しての)手術を選択することもあります。
 転移性肺腫瘍に対する手術は、腫瘍の存在する部位や大きさにより切除範囲や胸腔内へのアプローチ法が変わってきますが、可能であれば切除範囲を部
分切除や区域切除といったように縮小する縮小手術を選択することを基本としています。
 また、2021年よりロボット支援下手術も行っており、肺葉切除術・肺区域切除術を積極的に行っております。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 33 0.00 1.00 0.00% 68.85
K5606 大動脈瘤切除術(腹部大動脈(分枝血管の再建)) 16 2.50 37.81 0.00% 68.00
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 14 3.36 10.43 0.00% 80.29
K6173 下肢静脈瘤手術(高位結紮術) 10 0.00 1.00 0.00% 71.30
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) - - - - -
 2024年は3名のスタッフで、心臓血管外科領域をほぼ網羅する疾患内容で総数358例の手術を施行しました。実施した手術の内訳は心臓大血管手術が75例、腹部末梢血管手術では腹部大動脈瘤が34例、下肢末梢動脈疾患が49例、下肢静脈瘤が39例、透析シャント関連手術が144例でした。上記症例の内、血管内治療としての胸部・腹部ステントグラフト内挿術は22例でした。外来手術を97例に施行しました。ドクターヘリの普及により県内外より急性大動脈解離などの緊急手術を受け入れました。血管内治療は低侵襲性に優れており、かつ患者満足度が高いので今後も継続していく予定です。
小児外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 84 1.00 0.45 0.00% 3.95
K6333 臍ヘルニア手術 33 1.00 1.00 0.00% 1.73
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 18 0.28 3.33 0.00% 10.44
K836 停留精巣固定術 16 1.00 1.63 0.00% 2.81
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) 11 1.00 6.36 9.09% 30.00
 当科の特徴として鼠径ヘルニアに対してすべて腹腔鏡下に手術を行っていることが挙げられます。2番目に多い臍ヘルニア手術、4番目の停留精巣固定術とともに共通のクリニカルパスを用いて標準化された周術期管理を行い、入院期間が延長することはほとんどありません。急性虫垂炎についても、急患手術でもすべての症例を腹腔鏡下に手術しています。なお当科の治療は当院で完結して自宅退院となることが多いため、転院することはほとんどありません。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 etc. 192 1.07 4.22 1.04% 46.76
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡によるもの) 102 0.91 3.95 0.00% 40.75
K867 子宮頸部(腟部)切除術 62 0.36 1.08 0.00% 38.53
K872-31 子宮内膜ポリープ切除術(電解質溶液利用のもの) etc. 48 0.25 1.15 0.00% 41.27
K872-2 腹腔鏡下子宮筋腫摘出(核出)術 46 0.98 4.00 0.00% 37.61
佐賀県内の産婦人科基幹施設はそれぞれ役割分担をしており、進行悪性腫瘍、高度周産期医療は他施設での取り扱いが多く、当院は良性婦人科疾患を中心に他施設で取り扱わない婦人科疾患を中心に取り扱っています。内視鏡下手術をはじめとした低侵襲治療を積極的に取り扱っています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 319 0.04 1.01 0.31% 74.85
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 33 1.30 6.27 0.00% 62.42
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 31 0.77 4.74 0.00% 76.03
K2686 緑内障手術(水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術) 14 0.07 2.07 0.00% 73.86
K2683 緑内障手術(濾過手術) 11 2.73 8.73 0.00% 66.27
 白内障手術が最も多いが、増殖糖尿病網膜症、裂孔原性網膜剥離、黄斑円孔、網膜剥離等に対する硝子体手術も対応している。近年の低侵襲緑内障手術方法の拡充とともに、水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術を希望される患者が増加し、その要望に応えている。しかしながら、充分な眼圧下降効果が必要な患者にはこれまでの術式である濾過手術を行っている。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) etc. 121 1.03 5.24 0.00% 20.14
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 52 1.04 3.98 0.00% 58.10
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 38 1.00 4.00 0.00% 53.53
K347-5 内視鏡下鼻腔手術1型(下鼻甲介手術) 22 0.96 3.91 0.00% 39.32
K340-4 内視鏡下鼻・副鼻腔手術2型(副鼻腔単洞手術) 15 1.07 4.00 0.00% 51.93
令和6年度における当科入院患者のうち、手術対象となる疾患の上位3つは多い順に扁桃疾患、副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症でした。
最も多い手術は、口蓋扁桃摘出術(アデノイド切除含む)(121例)であり、主な対象疾患は慢性扁桃炎、扁桃肥大、いびき、睡眠時無呼吸症です。症状は繰り返す発熱、咽頭痛、いびき、睡眠時の無呼吸等です。比較的若年者が多いですが、幅広い年齢層に広がっています。手術の主な合併症は術後出血です。手術器具の変遷により術後早期の出血は少なくなりましたが、今もなお術後5日目以降の比較的後期に出血することがありますので注意が必要です。
2番目に多い手術は、内視鏡下鼻・副鼻腔手術です。手術をする副鼻腔の数などで1-5型に分けられます。1つの副鼻腔を扱う2型、2つ以上の副鼻腔を扱う3型、およびすべての副鼻腔を扱う4型を多く行っております。主な対象疾患は慢性副鼻腔炎(真菌症、術後嚢胞等を含む)です。患者平均年齢は3型57歳、4型54歳と高齢化の傾向にあります。当院での入院期間は平均6日です。最近は難治性の好酸球性副鼻腔炎の割合が多くなっており、以前と比較しますと4型の割合が増加しています。現在では、ほぼ100%内視鏡下に手術を行っているため、術後の痛みも比較的少なくなり、以前手術を躊躇した方でも一度ご相談されることを勧めます。
脳神経内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K178-4 経皮的脳血栓回収術 34 0.00 23.38 88.24% 82.21
K597-3 植込型心電図記録計移植術 - - - - -
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 - - - - -
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) - - - - -
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) - - - - -
2024年度の入院患者数は606名でした。入院患者の内訳は例年通り、脳卒中が60%と最も多く、次いでてんかんが12%を占めるなど緊急入院が多数を占めました。他の疾患では、認知症関連疾患、末梢神経疾患が4%、神経免疫疾患、パーキンソン病関連疾患が3.6%、神経感染症が3.3%、手術の必要のない外科疾患が2.5%、運動ニューロン疾患が0.8%、その他が6.4%でした。急性期脳梗塞患者へのrt-PAの投与は31例であり、脳外科と協力して行った血栓回収療法は39例でした。
外来治療では、アルツハイマー病に対する抗アミロイドβ抗体の投与、進行期パーキンソン病患者に対するホスレボドパ・ホスカルビドパ持続皮下注療法、神経免疫疾患に対する分子標的薬治療も昨年度に引き続き積極的に行っています。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 47 0.89 2.87 2.13% 76.00
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm未満) 15 0.93 0.93 0.00% 43.93
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満) - - - - -
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満) - - - - -
K0061 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm未満) - - - - -
 当科の手術は、前述のように悪性および良性いずれの腫瘍も扱っています。
 悪性腫瘍では、腫瘍の種類やサイズ、部位、基礎疾患などに応じて、切除範囲の大きさや再建方法を検討しています。必要時、二期的手術を行ったり、センチ
ネルリンパ節生検を行うこともあります。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 106 1.11 4.81 2.83% 74.66
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 71 1.78 3.76 2.82% 63.68
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 64 2.97 7.97 14.06% 75.11
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 34 1.21 7.79 2.94% 71.62
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 27 1.04 11.37 0.00% 70.59
当科における主な手術は、泌尿器悪性腫瘍手術、尿路結石症手術などになります。最も症例数が多い手術は膀胱癌に対する膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)で106件でした。2番目は上部尿路結石に対する経尿道的尿路結石除去術(レーザーによるもの)で71件でした。腎癌や腎盂尿管癌に対する腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術、前立腺や腎癌に対するロボット支援腹腔鏡手術なども多数行っています。また悪性腫瘍や尿路結石などに伴う水腎症に対して経尿道的尿管ステント留置術も積極的に行っています。
腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 56 5.38 9.48 7.14% 71.77
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 14 3.79 14.29 0.00% 71.71
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 10 12.10 5.90 0.00% 73.90
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) - - - - -
K635-4 腹腔鏡下連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 - - - - -
1)はじめに
わが腎臓内科は、日本腎臓学会認定施設、日本透析医学会認定施設、財団法人腎研究会透析医療従事職員研修実習指定施設であり、佐賀県の腎疾患の中心的施設の一つに位置付けられています。また、当院の人工透析室では40名の血液透析患者受け入れが可能です。
2)スタッフ
2024年度はスタッフ2名(中村 恵、松本 圭一郎)、シニアレジデント4名(力久哲郎、藤井 真子、小林 雄彦、神林 眉裕理が診療に携わりました。
3)診療実績
 診療内容は、腎炎・血管炎、ネフロ―ゼ症候群、糖尿病性腎症、慢性腎臓病、急性及び慢性腎不全、透析療法(血液透析、腹膜透析、血液浄化療法(血漿交換・血液吸着・血液濾過等)、腹水濾過濃縮再静注法)などすべての内科的腎疾患、及び透析合併症に対応しています。2024年度の新規入院患者は362名で、その内訳は、末期腎不全(血液透析及び腹膜透析導入含む)115名、慢性腎臓病(腎不全教育入院含む)55名、慢性糸球体腎炎54名、透析合併症44名、感染症36名、急性腎不全30名、急速進行性糸球体腎炎9名、その他19名でした。腎生検は27件施行しています。
2024年度の透析に関しては、血液透析件数は4,847件(入院2,247件、外来2,600件)でした。腹膜透析導入が18例でした。血液浄化療法は血漿交換を40件、LDL吸着を38件行い、腹水濃縮再静注法は22件施行しました。
血液内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 11 6.91 15.55 0.00% 68.45
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) - - - - -
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 - - - - -
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) - - - - -
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 - - - - -
2024年度に入院治療を行った延べ患者数は222人でした。入院血液疾患患者の疾患内訳は悪性リンパ腫,白血病,多発性骨髄腫が取り扱い3大疾患です。
急性白血病に対する治療として化学療法行います。最初に寛解導入療法を行いその後数回の地固め療法を必要とします。そのため数回の入院が必要です。殆どの患者さんは安全に化学療法を行うため無菌病棟に入室していただいています。また通常の強力な化学療法が難しい患者さんに対する新たな治療法(ベネトクラクス+アザシチヂン療法)や、抗体医薬(ブリナツモマブ・イノツズマブオゾガマイシン)の導入により、治療成績の改善が期待されています。
非ホジキンリンパ腫では抗体医薬(リツキシマブ・オビヌツズマブ・ブレンツキシマブベドチン・ポラツズマブベトチンなど)や化学療法を組み合わせた治療を行います。化学療法中もできるだけご自宅で過ごせるように一時退院を繰り返しながら治療を継続します。問題なく化学療法ができる患者さんでは外来化学療法も行っています。
多発性骨髄腫では、近年新たな骨髄腫治療薬が次々と開発され、これらの薬剤を組み合わせた治療により、治療成績が向上しています。治療の導入は入院で行い、その後は外来化学療法へ移行します。
さらに、実施可能な患者さんに対しては、自家および同種造血幹細胞移植を積極的に行い、更なる治療成績の改善に務めています。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 131 0.60 1.69 0.76% 70.81
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜) 83 1.06 5.93 1.20% 75.04
K654 内視鏡的消化管止血術 60 0.57 9.00 15.00% 72.58
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) 41 0.00 1.15 0.00% 68.83
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 40 0.15 5.63 2.50% 67.60
消化器内科で最も多い症例は、大腸ポリープや早期大腸がんに対する内視鏡的治療(内視鏡的粘膜切除術やポリープ切除など)です。1泊2日の短期入院で行う場合もありますが、治療後出血の危険性が低い多くの症例では外来で実施しています。粘膜下層剥離術の場合には切除面積が大きくなるため、1週間程度の入院加療が必要となります。良性の範疇であっても、がんに移行する可能性がある腺腫や前がん病変に対しては、がんと同様に内視鏡治療を行っています。
内視鏡的止血術を行う症例も多くみられます。特に抗血栓薬の使用頻度が高い高齢者では、大腸憩室出血や胃・十二指腸潰瘍出血がしばしば認められ、輸血を要することも多いため、1週間程度の入院が必要となる場合があります。
消化器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 etc. 71 2.87 11.51 7.04% 72.92
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 61 1.00 2.30 0.00% 74.00
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 37 0.54 4.32 2.70% 53.19
K655-23 腹腔鏡下胃切除術(悪性腫瘍手術)(内視鏡手術用支援機器使用) 36 2.00 13.67 2.78% 72.94
K740-22 腹腔鏡下直腸切除・切断術(低位前方切除術)(内視鏡手術用支援機器を用いて行った場合) etc. 22 2.68 17.50 0.00% 68.27
当館の消化器外科では、消化器癌の外科治療(手術)が治療の中心となるため大腸癌では、結腸癌に対する腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術、直腸癌に対するロボット支援下腹腔鏡下低位前方切除術癌および直腸癌)が、胃癌では比較的症例数の多い下部胃癌に対するロボット支援下腹腔鏡下胃切除術が手術症例数の上位に上がります。癌の手術は術前2~3日前に入院していただき、術前の準備を万全に行った後に手術を行い、術後10日~2週間程度で退院となることが多く、多くはクリニカルパスに沿って術後回復がなされます。術後在院日数が少ないことは術後の合併症が少ないことを反映しており、昨今の患者さんの高齢化を鑑みると、高齢者であっても比較的安全に手術が行われていることを示していると考えます。当科で積極的に取り組んでいるロボット手術、腹腔鏡手術などの低侵襲手術の安全性が裏付けられているものと考えます。近年の全国的な外科医の減少に伴い、外科治療(手術)を担う医療機関が減少しています。当館の位置する医療圏でも顕著にその傾向が見られ、腹部救急疾患に対して24時間体制で手術ができる医療機関は激減しています。そのため当館では消化器がんに対する外科治療のみならず、そけいヘルニアや急性虫垂炎などの良性疾患も多く手がける結果になっています。そけいヘルニア手術では患者さんが術後の生活(特に痛みの管理)に自信が持てる術後2日目の退院を基本としています。
肝胆膵外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 142 1.28 4.69 1.41% 65.96
K695-21イ 腹腔鏡下肝切除術(部分切除)(単回の切除によるもの) etc. 17 1.00 10.71 5.88% 69.41
K7032 膵頭部腫瘍切除術(リンパ節・神経叢郭清等を伴う腫瘍切除術の場合) 14 4.29 29.64 14.29% 73.00
K695-23 腹腔鏡下肝切除術(亜区域切除) - - - - -
K702-21 腹腔鏡下膵体尾部腫瘍切除術(脾同時切除) - - - - -
2024年の手術件数は265件で、日本肝胆膵外科学会が指定する高難度手術(肝葉切除、膵頭十二指腸切除等)は44件でした。
当科で最も多い手術は、胆石・胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術であり、145件の手術を行ない、術後平均在院日数は4日でした。
次に多いのが、肝臓癌に対する腹腔鏡下肝切除術になります。開腹手術と比較して、傷が小さく、低侵襲であり、体に優しい手術になります。また、ロボット支
援下肝切除術も2022年から導入しています。膵頭部腫瘍に対する膵頭十二指腸切除術も次に多く行なっています。また、膵尾部腫瘍に対する手術の7割を
腹腔鏡で行っています。
肝胆膵内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 131 2.10 8.70 9.92% 76.12
K6871 内視鏡的乳頭拡張術 etc. 76 1.54 7.05 7.89% 76.47
K708-3 内視鏡的膵管ステント留置術 32 1.47 11.25 18.75% 76.03
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 26 0.96 7.62 0.00% 78.46
K686 内視鏡的胆道拡張術 17 3.47 10.71 5.88% 75.76
 2024年度はスタッフ4名とシニアレジデント2名の体制で診療を行った。当科は肝胆膵の幅広い領域を担っており、各分野で標準的検査・治療を実践しています。
佐賀県の肝疾患専門医療機関として、専門医による肝癌の診断と早期発見、治療、その原因であるウイルス性肝炎治療を行っています。また、胆嚢、胆管及び膵臓の悪性腫瘍、胆管炎、胆嚢炎、急性膵炎などの治療も行っています。2023年度の入院患者疾病内訳(総数 735例)は、原発性肝癌117例、慢性肝疾患46例、急性肝障害5例、急性胆道炎188例、胆道癌81例、膵癌191例、急性膵炎30例、その他77例でした(全て延べ数)。
腫瘍治療科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) etc. 41 1.20 6.17 0.00% 69.07
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法 21 0.95 3.19 4.76% 69.81
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 - - - - -
K0061 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm未満) - - - - -
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 - - - - -
大腸がんにおいては標準治療の実施に際して初期治療導入時に、胃がんにおいては経口摂取困難例に対して埋込型中心静脈カテーテル留置を実施しています。
難治性大量腹水を伴う場合には、症状緩和処置に留まらず、化学療法と並行して治療継続、有害事象軽減を目的に腹水・濾過濃縮再静注法を積極的に採用しています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 10 0.08%
異なる 28 0.22%
180010 敗血症 同一 46 0.36%
異なる 81 0.63%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 34 0.26%
異なる - -
当館では、手術や処置などを行う際には、合併症を起こさないように細心の注意を払い施行しています。起こり得る合併症については、事前に可能な限り患者さんに説明した上で、手術や処置の施行に同意をいただくよう努めています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
1,649 1,607 97.45%
手術の合併症一つに、いわゆる「エコノミークラス症候群」と呼ばれる肺血栓塞栓症があります。これは、術後の安静や長期臥床により血液のめぐりが悪くなり、下肢静脈に血栓ができ、それが血液の流れに乗って肺の血管まで運ばれ、つまってしまう病気です。肺血栓塞栓症を併発すると死にいたる危険性もあるため、術前にリスク評価を行い、予防対策を実施しています。リスクレベルが「中」以上の予防法は、弾性ストッキング着用、下肢の間欠的空気圧迫法、抗凝固療法などになります。
2023年のリスクレベル「中」以上に対する肺血栓塞栓症の予防対策実施率は97.40%でした。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
4,555 3,521 77.30%
血液培養検査は感染症診療における迅速正確な診断と適切な抗菌薬選択のために最も重要な検査の1つです。血液の中に細菌がいる状態を菌血症といいますが、菌血症を見逃さずに診断するには血液培養検査が必須であり、原因微生物の同定や重症度の評価、適切な治療に大きな役割を持ちます。
血液培養は好気性菌用ボトルと嫌気性菌用ボトルの2本を1セットとして、2セット採取することが基本とされています。2セット採取の臨床的な意義は、①血液採取量が増えることにより血液培養の検出感度が向上する、②皮膚の常在菌が検出された場合のコンタミネーション(汚染)の判断が可能となることです。血液培養の採取セット数と検出感度の関係については、1セットのみの採取では73.2%しか検出できなかったが、2セットで93.9%、3セットで96.9%に向上したという報告があります。
 血液培養が適切に行われているかを評価する指標の1つに、血液培養2セット採取率があります。当館における小児科を除く(15歳以上)血液培養2セット採取率は99%であり、ほぼ全例において2セット以上採取されています。小児は血液量が少ないため、小児用のボトルを使用し基本的に1セット採取されていますが、小児科(15歳未満)を含む2セット採取率も88%と高い値になっています。
上記一覧は、小児事例(15歳以上)を除いて集約した数値を計上しております。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
496 464 93.55%
感染症の治療において、患者の重症度が高い場合や薬剤耐性菌の関与を考慮する場合には、経験的に広域スペクトル抗菌薬を使用する場合があります。しかし広域スペクトル抗菌薬の多用や長期使用は生体内の常在細菌叢を破綻させ、その抗菌薬に効果のない耐性菌が誘導され、次に起こる感染症をより難治なものにします。
このため広域スペクトル抗菌薬を使用する際には、投与前に血液培養はじめ各種培養検査を行い、感染臓器と原因となる微生物を特定することが求められます。2~3日後に原因微生物と薬剤感受性検査結果が判明すれば、それを標的に感受性のある狭域スペクトラムの抗菌薬への変更(最適化)が可能となります。
抗菌薬使用時の細菌培養実施率は、感染臓器と原因微生物の同定にどの程度力がそそがれているかを示すため、感染症の診療レベルを知るためのよい指標の1つと考えられます。当館における広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率は93.55%と非常に高く、ほぼ全例に対して実施されています。細菌培養検査結果を基に原因微生物に応じた適切な抗菌薬を使用することにより、薬剤耐性菌の出現を防ぎ、個々の患者に最適な抗菌薬治療を提供できるよう努めています。
転倒・転落発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
107,653 58 0.54‰
入院患者の転倒・転落は、患者が自律的に活動する限りにおいて発生率を0 %にすることは困難です。しかし患者の転倒・転落リスクを事前に評価して、発生防止対策を実行することで影響度の大きい合併症を防ぐことが可能です。転倒・転落の発生要因を分析し、有効な予防策を立案し実践していくことが発生率の低減に繋がります。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
- - -
対象期間での「転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上」の発生はなく、引き続き発生しないよう努めていきます.
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
3,517 3,495 99.37%
術後の手術部位感染の発症予防対策として、手術前後の抗菌薬投与を行っています。今後も手術部位の感染症の発生を抑え、早期の退院できるよう務めていきます。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
48,441 69 0.14%
褥瘡は看護ケアの質評価の重要な指標の1つです。日本病院会QIプロジェクトの2023年の褥瘡発生率は0.13%と報告されており、当館は平均的なレベルです。多職種によるチーム医療、褥瘡予防ケア教育、体圧分散寝具の活用により褥瘡発生予防に努めます。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
6,153 5,951 96.72%
予定入院の場合は、入院前に入退院支援センター担当の管理栄養士が食事摂取状況や体格、血液検査結果などから患者さんの現在の栄養状態をスクリーニング・アセスメントし、低栄養の可能性がある場合は入院までの食事・栄養摂取のアドバイスを行います。また、入院中の食事内容を説明するとともに、食物アレルギーの有無、咀嚼・嚥下など食事に対して配慮が必要なことを確認し、入院したその日から患者さんそれぞれにあった食事が提供できるように取り組んでいます。
緊急入院の場合も同様に、病棟担当管理栄養士が患者さんの現在の栄養状態をスクリーニング・アセスメントし、低栄養の可能性がある場合は栄養投与内容・方法を医師・看護師と検討し、適切な栄養投与ができるよう努めています。
身体的拘束の実施率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
107,653 4,033 3.75%
身体的拘束とは、転倒や医療機器の自己抜去を防ぐために手足や身体を固定する行為であり、診療報酬改定でも「緊急やむを得ない場合を除き原則として行ってはならない」とされています。拘束は尊厳を損なう可能性があるため、国は「身体拘束ゼロ」を目標に手引きを示し、全国的な削減を促進しています。当院は2025年度度より「身体的拘束最少化チーム」を立ち上げ、代替ケアの徹底と多職種による再評価を強化し、実施時も最短での解除に努めています。当院の身体的拘束実施率は 3.75% で、日本病院会のQIプロジェクト等で示される 2023年の全国平均(約11.8%) と比べ低水準です。今後も職員研修や啓発活動、患者・家族との協働を通じて、「安全」と「尊厳」の両立を一層推進していきます。
更新履歴
2025.9.22
令和6年度 病院情報を公開しました。