メディア掲載情報
総合臨床研究所の泉 秀樹部長の論文が『iScience』に掲載されました(プレスリリース)
今回の発見について説明する泉 秀樹部長(2026年8月27日、佐賀県庁記者会見室)
プレスリリースの概要
細胞分裂では、一つの細胞から二つの娘細胞が生まれます。二つの娘細胞は必ずしも同じ性質になるとは限らず、一方が未分化な幹細胞の性質を保ち、もう一方が分化する「非対称分裂」が起こることがあります。しかし、がん細胞で二つの娘細胞の性質が分かれる仕組みには、不明な点が残されていました。 総合臨床研究所の泉 秀樹部長らの研究グループは、がん幹細胞に似た性質を持つヒト神経芽腫由来の培養細胞を調べました。その結果、細胞分裂時に、古い中心体(母中心体)と新しい中心体(娘中心体)のどちらを受け継ぐかによって、がん幹細胞マーカーCD133を含む細胞内小胞の分配量が異なることを発見しました。CD133を含む小胞を多く受け継いだ娘細胞では、細胞分化の目印となる一次繊毛の形成が抑えられていました。また、中心体の年齢差に関わるタンパク質Odf2を減少させると、非対称分裂が減少し、二つの娘細胞がともに未分化な性質を示しました。これらの結果は、中心体の年齢差が、細胞分裂後のがん細胞の悪性度を調節していることを示しています。 今後、中心体の年齢差の分子機構を解析し、中心体の年齢を引き上げる作用を持つ薬剤を探索してがん細胞の悪性度を低下させる治療法の開発につながる可能性があります。 本研究成果は、Cell Pressが発行する科学誌『iScience』に掲載されました。
論⽂の要旨
本研究では、ヒト神経芽腫細胞を⽤いて、細胞分裂時に受け継がれる「中⼼体の年齢差」が、がん幹細胞の悪性化を調節する新たな仕組みを明らかにしました。 「中⼼体の年齢差」に基づく⾮対称分裂では、CD133 陽性リサイクリングエンドソームが⺟中⼼体を受け継ぐ細胞には少なく、娘中⼼体を受け継ぐ細胞には多く分配され、その結果、⼀次繊⽑形成能や細胞の分化状態が異なることが分かりました。 さらに、中⼼体成熟に関わる分⼦である Odf2 を低下させると、この⾮対称性が失われ、両娘細胞が未分化で悪性度の⾼い性質を⽰しました。これらの結果は、中⼼体の成熟状態が、がん幹細胞の運命を制御する重要な因⼦であることを⽰しています。
論文の詳細は以下をご覧ください。
本件についての問い合わせ先:総合臨床研究所 TEL 0952-24-2171(代表)
