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田中 栄蔵

広い平野を見渡せばあちこちで稲刈りの風景が見られ、台風が一つ過ぎるごとに涼しさが増してくる、そんな10月の佐賀です。自分は九大のたすき掛けで好生館を選択し、またよその病院を見学していませんので、他の先生方ほどには好生館の研修システムの利点について記すことができません。ですので、自分が研修生活で感じたことをとりとめなく述べてゆきます。

好生館にくる前、きた後の周囲からの評判を聞くと、ここの臨床研修はめちゃくちゃに忙しいと思われているようです。自分もそのように仄聞していましたが実際に働いてみて、そこまで忙しくはないと逆に思えました。確かに数年前くらいまではかなり忙しかったようで、それは先輩方から伺うところです。現在では、忙しい時もないわけではないのでしょうが、ほとんどの科において担当の患者さんもほどほどの数で、忙しさもそこまでではなく、それぞれの症例に対して考えたり勉強したりする時間の余裕はあると思います。2週間に1回研修医勉強会もあり、診察や治療についてのスキルや知識を身につけることもできます。また、看護師さんやコメディカルの人、院内にあるコンビニの店員さんまで、皆いい人達で挨拶が絶えず、よい雰囲気のなか気持ちよく仕事ができると感じています。

この頃頭によく思い浮かぶ言葉があります。"Ars longa, vita brevis."という、ヒポクラテスの格言です。「医の技術に熟達するには、人生の時間はあまりにも短いものだ」といった意味の言葉だと思います。好生館では必修の内科6ヶ月は6つの診療科を1ヶ月ずつローテート研修するスタイルですが、本当に1ヶ月とは短いものだと思います。色々な折に自分の勉強不足を痛感するとき、仕事の後に研修医室で勉強するとき、ふと頭にかの格言を思い出しては好生館でのたった1年、実質あと半年の研修を実り多いものにしようと努力する気持ちになります。

1年で去るのが惜しく思える、よい病院だと思っています。

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