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最新治療のご紹介

心臓血管外科:ステントグラフト内挿術

ステントグラフトイメージ1

ステントグラフト内挿術とは

ステントグラフト内挿術とは、大動脈瘤に対するカテーテル(医療用の細い管)を用いた血管内治療のことです。「ステントグラフト」とは、「ステント」という形状記憶合金でできた骨組みに、「グラフト」と呼ばれる人工血管を縫い付けた筒状の形をしています。ステントグラフトを血管内に留置することで、瘤の中に血液が流入することを防ぎます。これによって、血流による圧力が瘤にかからなくなり、破裂を予防することが可能です。大動脈瘤の治療法には、ステントグラフト内挿術のほかに、動脈瘤を切除して人工血管に置き換える「人工血管置換術」という外科手術があります。ステントグラフト内挿術は、この人工血管置換術と比較して、身体的な負担が少ない治療法といえます。

ステントグラフトイメージ2

対応疾患

腹部大動脈瘤

大動脈は、血液を心臓から全身へと運ぶ主要な血管です。大動脈は胸部から下腹部へと伸び、腹部から腸骨動脈に分岐します。この腸骨動脈は血液を下半身と脚に運びます。老化やその他の原因により、大動脈の一部が弱くなり、膨らみはじめることがあります。時間とともにこの脹らみが大きくなると、大動脈の壁が次第に薄く伸びて風船のような状態になります。大動脈に発生するこの膨らみを動脈瘤といいます。動脈瘤は腹部周辺の大動脈に発生することがあります。これを腹部大動脈瘤といいます。

胸部大動脈瘤

大動脈は、心臓から全身へ血液を運ぶ主要な血管です。大動脈は胸部から腹部へと伸び、腹部から腸骨動脈に分岐します。この腸骨動脈は血液を下半身と脚に運びます。老化やその他の原因により大動脈の一部が弱くなり、膨らみはじめることがあります。この膨らみは、時間の経過とともに拡大し、大動脈の壁が風船のように薄く伸びた状態になることがあります。大動脈に発生するこの膨らみを大動脈瘤といいます。大動脈瘤は、胸部を走る大動脈に発生することがあります。これを胸部大動脈瘤(TAA)と呼びます。

胸部大動脈解離

大動脈は、心臓から全身へ血液を運ぶ主要な血管です。大動脈は胸部から腹部へと伸び、腹部から腸骨動脈に分岐します。この腸骨動脈は血液を下半身と脚へ運びます。老化などにより、大動脈の一部が弱くなって裂け目が生じ、大動脈の壁が二層に分かれることがあります。時間の経過とともに壁のはがれが進行し、裂け目が大きくなることもあります。この大動脈壁の亀裂と層の剥離を解離と呼びます。亀裂が始まる箇所をエントリー(入口部)と呼びます。解離は胸部を走る大動脈の部分に発生することがあり、これを特に胸部大動脈解離と呼びます。胸部大動脈解離は、大動脈が局所的に膨らんでできる「胸部大動脈瘤(TAA)」や、自動車事故のような胸部に強い衝撃が加わって起こる「外傷」とは異なります。

治療体制

腹部大動脈瘤

動脈瘤がまだ小さいときは、経過観察を行うために、医師が定期検診を勧めることがあります。動脈瘤が大きい、または急速に拡大している場合は、破裂の危険性が高くなります。動脈瘤が破裂する危険があると判断されると、医師から治療を勧められます。腹部大動脈瘤の治療には開腹手術と血管内治療の2つのタイプがあります。腹部大動脈瘤治療の目的は、大動脈瘤の破裂を防ぐことです。

胸部大動脈瘤

胸部大動脈瘤が小さく、大動脈が完全に破れていない場合は、経過観察とし、医師が定期的に診断します。診察では、胸部大動脈瘤が大きくなっていないか、また、なっている場合はどれくらい大きくなっているかを診断します。胸部大動脈瘤への圧を下げるため、血圧を下げる薬が処方されることもあります。しかし、胸部大動脈瘤が拡大傾向にある場合や、急速に拡大している場合は、破裂する危険性が高まります。医師が胸部大動脈瘤破裂の危険があると判断した場合、破裂しないように、または、身体の他の部位への血流に影響をおよぼさないように、治療を受けることを勧められることがあります。胸部大動脈瘤の治療法には開胸手術と血管内治療の2つの方法があります。

胸部大動脈解離

胸部大動脈解離と診断された場合、すぐに治療を開始する必要があります。主な合併症には、「大動脈破裂」と、「大動脈から枝分かれする重要な動脈の閉塞」の2つがあり、いずれも迅速な治療が必要です。治療せずに放置すると、大動脈が破裂する危険があります。解離の破裂の危険があると考えられるか、内臓への血流が遮断されている場合にも、治療を勧められることがあります。胸部大動脈解離の治療には内科的管理・開胸手術・血管内治療の3つの方法があります。
胸部大動脈解離のいずれの治療法の目的も、大動脈の破裂や全身への血液供給の遮断をくい止めることです。

よくあるご質問

腹部大動脈瘤の術後定期検診はなぜ大切なのですか?

術後は、担当医師による定期検診を受けていただくことがとても重要です。その理由は、血管内治療の長期的な治療成績がまだはっきりと分かっていないためです。自覚症状のない問題が発生する可能性もあるため、動脈瘤やエンドバスキュラーグラフトの状態を画像(エックス線、CTスキャン)で定期的に確認する必要があります。何らかの問題が発生している場合は、追加の治療が必要になることもあります。

胸部大動脈解離の症状はどんなものがありますか?

胸部大動脈解離の主な症状は胸の痛みです。胸や背中(肩甲骨の間が多い)に鋭い痛みや、裂けるような激しい痛みを感じます。痛みは突然起こり、「今まで経験したことがないほど強い痛み」と表現されます。